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201310/14

カルシウムの役割

最初に、体内で一体カルシウムが何をやっているのかというのを見てみたいと思います。

カルシウムが体のどこにあるかというと、一番に思い浮かぶのは、「骨」。体内のカルシウムの99%は確かに骨にあるそうで、カルシウムが骨の中で不足してきますと、骨は薄く弱くなります。

ビルなんかで例えますと、カルシウムはコンクリートに該当し、鉄筋に該当するコラーゲン線維の周りにくっついて骨を支えているそうです。

さて、この99%のカルシウムも非常に重要な物なのですが、ここでは一つ、残りの方を見てみましょう。

 

お次にカルシウムが存在している場所と言いますと、血液の中だそうです。

骨と比べてカルシウム濃度は1/10000</B>だそうです。この割合をちょっと覚えておいて下さい。この血中カルシウム濃度は非常に厳密に一定の値を保たれていまして、<B>血液1dl(デシリットル)あたり9~10mg</B>の範囲から出ないようになっているそうです。

この範囲から飛び出ますと、病気になります。

原発性副甲状腺機能亢進症はその一例だそうですし、これと逆の副甲状腺機能低下症というのもあります。

 

次にカルシウムが存在している場所は、細胞の中です。

この細胞内のカルシウム濃度ですが、周囲を覆っている血液での濃度の1/10000</B>だそうです。どこかで見た数字ですが、これもちょいと覚えておいて下さい(^^;

この3つの居場所で、それぞれに10000倍という大きなカルシウム濃度の落差を作っているわけで、実はカルシウムが特別扱いされているのです。

カルシウム以外にも、細胞の外と中で、カリウムやナトリウム、マグネシウム、リンなどがかなりの濃度差を持っている物は存在するのですが、これははせいぜい数十倍の濃度差でしかありません。これだけ特別扱いされているカルシウムですから、これの過不足が単に骨が弱くなるということだけで済むわけがありません(ー。ー;

 

シドニー・リンゲルというイギリスの生理学者さんがいらっしゃいました。

カエルの心臓を使って実験をしていました。この実験なんですが、実は助手に「蒸留水を作っておく様に」と言ってあったのに、助手が「同じ水だから」ということでさぼって水道水をそのまま使っていたのだそうです。食塩をこの水に血液中と同じ程度に加えて、その液の中にカエルの心臓を入れますと、規則正しくよく収縮するので、心臓の収縮には食塩の適当な量があれば充分であると考えていたのだそうです。ところがある日、助手の手抜きに気づき怒ったリンゲルは、自分で蒸留水を作って同じように実験したのだそうです。そうしたら、カエルの心臓は見事に停止してしまったのだそうで(^^;;;;

ロンドンの水道水は非常にカルシウムの含有量が多いそうなんですが、この時に、水道水の成分を一つ一つ分析していきまして、カルシウムが心臓の収縮には必要であることを見つけたのだそうです。

このことを応用して、食塩水にカルシウムを加えて出来上がったのが、点滴などで利用するリンゲル液だそうです。

血液中に一定量のカルシウムがないと心臓が止まってしまうとなりますとこりゃ一大事です。急いで牛乳を飲みましょう>おぅるヾ(^^;

 

体内でカルシウムが存在する3つの場所での濃度差が人の体を維持していくために非常に重要なポイントであり、その為に血中カルシウム濃度を常にコントロールしている仕組みがあります。

この濃度差が崩れたり、濃度コントロール機能に乱れがでると、それが病気という目に見える症状となって現れて来るのだそうです。しかし、厳密に一定の血中カルシウム濃度を保持させている機能とはどのような物なのでしょうか。

 

昔昔、大英博物館でサイの首を細かく調べていたオーエンは、甲状腺のそばにくっついている何か小さな塊があるということを書き残しましたが、それが何だかは見当がつかなかったようです。これが、副甲状腺の発見でした(^^;

1880年に人の副甲状腺を見つけたサンドストレームの報告も、その意味が当時全く判らなかったので図書館の書物の山に30年も埋もれたままになっていたそうです(^^;

副甲状腺の役割が判ったのは、1910年頃のことだそうです。

犬を使って甲状腺の働きを調べていた人がいまして、甲状腺をとってしまうと犬が痙攣を起こして死んでしまいます。何とか甲状腺を取った犬が死なずに済む方法はないかと、半分残したり、1/3残してみたりと実験を繰り返している時にサンドストレームの文献を見つけ、副甲状腺だけを残すように手術してみたところ、犬は元気に生き残れるようになったそうで、これが副甲状腺の再発見と言われている物だそうです。

 

犬が痙攣を起こして死んでしまった原因は血中カルシウム濃度の低下です。

この濃度を一定に保つことが生命を保つのに必要であり、通常は米粒よりも小さい副甲状腺が分泌するホルモンがこの濃度を下げないために必要だということが初めて解明されました。

 

副甲状腺は、哺乳類や鳥類は持っていますし、両生類も持っているそうです。ところが、魚は持っていません。動物学者の人が一生懸命探したらしいのですが、見つからなかったそうです。魚にも血液が流れていますし、血中にはやはり一定量のカルシウムが存在

しているのですが、なぜに魚には副甲状腺がないのか・・・・。答えは海水にあるようです。

海水には血中濃度の5倍くらいの濃度のカルシウムが存在するそうで、魚の呼吸は、この海水との直接接触で行われています。だもんで、カルシウムが不足しそうになると、呼吸と一緒にカルシウムを取り込むことが出来るのだそうです。

ところが、空気を呼吸に使用する動物は、肺からカルシウムを取り込むことは出来ません。

不足したら食べ物からカルシウムを取り込めば良いと言うことになりますが、カルシウムが不足しますと、心臓が停止したり意識不明になったりしますので、食べ物だけに頼る様なカルシウム濃度保持機能ではあまりにも冒険的すぎます。

そこで登場するカルシウム源が「骨」なんですね(^^;

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