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201310/16

免疫とカルシウム

免疫系の細かな話は、別稿の免疫のお話を参照していただくとして(^^;、免疫機能は一つの細胞などが行っているのではなく、沢山の種類の細胞が連係プレーで対応しています。

カルシウムの不足はあらゆる細胞の機能の低下を引き起こしますので、免疫細胞達もカルシウムの異常が起こりますと、連係プレーにひびが入ってしまうことが考えられます。

 免疫の働きは一般に白血球と言われている細胞達が行っていますが、同じレトロウィルスが引き起こす成人型T細胞白血病と後天性免疫不全症候群(エイズ)は、どちらもヘルパーT細胞が標的となりますが、その症状は全く反対で、白血病の方はヘルパーTリンパ球が異常に腫瘍化して増殖が止まらなくなってしまう物であり、エイズは、ヘルパーTリンパ球が全くなくなってしまう病気です。

どちらの場合もその細胞の内外のカルシウムバランスが崩れているそうで、カルシウムが不足するとこれらの病気が悪化するそうです。ウィルス感染の予防には充分なカルシウムとビタミンDの摂取が必要だそうで、成人型T細胞白血病の腫瘍化した細胞の中には活性型ビタミンDで増殖が抑えられる物もあるそうです。

さて、免疫系を初めとする血液細胞達は骨髄で作り出されます。

この血液細胞を作る非常に大切な場所であるために、骨髄は骨の中で保護されている・・・・と思いきや(^^;、造血系が骨髄にない生き物もいます。

「魚」 魚の骨には骨髄が無いそうです。じゃ、どこで作っているのか・・・・・

脾臓や肝臓、腎臓などで作っているのだそうです。

 これは免疫の話で触れたかどうか忘れましたが、母胎と胎盤で繋がっている胎児も同じ様な事をしています。 造血系が骨の中にある理由としては保護ということもあるのかも知れませんが、巨大なカルシウム貯蔵庫のすぐそばにあれば、いつでもカルシウム をすぐに利用できるという理由があるのではないかという事です。

こう考えてみますと、魚が違った構造を持っているのは理解が出来ます。

初めの方で書いたように、魚はカルシウムが豊富な海水をエラという呼吸 器で直接呼吸に使用していますので、カルシウム不足には絶対なりません(^^;

変化・増殖が激しい為に大量のカルシウムを必要とする造血系の細胞達は、 陸上生物というカルシウム万年欠乏の生物においては、常にカルシウムを

取り込めることが出来る骨の中で作られる様になったのではないだろうかとのことです。 骨からカルシウムを取り出す副甲状腺は、魚にはありません。

で、人間の胎児の場合も、胎盤を通して母親からカルシウムを供給されるため副甲状腺ホルモンの分泌は行われていません。

だもんで、早産児の場合、副甲状腺ホルモンの分泌準備が間に合わずに、出産後しばらくの間血中カルシウム濃度が低いことがあるそうです。

副甲状腺が無い間は骨髄で血液の細胞を作らずに、骨髄が血液の細胞を作り出すと副甲状腺がホルモン分泌を始めるという事なのですが、これは、骨のカルシウムを取り出して、骨に骨髄の入る場所を作って、そこで骨髄が血液を作れる空間を確保するという役割が副甲状腺ホルモンにあるのかも知れないとのことです。

これは、成人に骨髄線維症という、骨髄で線維が増殖しすぎて血液の細胞を作る場所が無くなる病気があるそうで、この様な時には脾臓や肝臓が骨髄の代わりに血液細胞を作るそうなんですが、充分には作り出せないそうです。

こう見ますと、骨髄は骨に対してやらずぼったくり状態(^^;の様に見えま すが、実は骨の方も骨髄にある細胞を利用してその活動性を保っているのだそうです。 先に書きました様に骨は破骨細胞が絶えず一部を壊して、その後を骨芽細胞というのがそこに膠原線維を作り、これにカルシウムとリン酸からなる ヒドロキシアバタイトという結晶を加えて新しい骨を作っています。これによって骨は常に新しさを保っているわけですが、この時に働いている破 骨細胞はマクロファージ等と同じ骨髄の幹細胞からいろいろなホルモンやサイトカインの影響を受けて破骨細胞にまで分化しています。 骨髄が骨を必要とするのと一緒に、骨も骨髄を必要としているのでありました(^^)

もしカルシウム不足で免疫細胞の働きに乱れが出るとこれらの骨のリモデリングをしている細胞にも影響が出るかも知れないそうです。

免疫異常の病気に慢性関節リウマチがありますが、この患者の人の骨も通常より弱くなっている場合があるそうです。

骨粗鬆症の人の場合、血液中の免疫細胞の種類が正常の人と違っているそうで、ヘルパーT細胞とサプレッサーT細胞の比が高くなっているそうで、活性型ビタミンDを飲むとこれが正常になる事が神戸大学で確認されたそうで、これを発端に免疫の働きと骨粗鬆症の関係が注目されるようになっているそうです。

ということで、・・・・・・大御所が出損なった(^^;;;;;

さて、先に骨髄で血液細胞が作られる為には、変化と分裂が激しいために大量のカルシウムが必要と書きました。

細胞分裂にはカルシウムが必要なのですね。 で、「細胞分裂」+「病気」となりますと、まず出てくるのが「癌」です。

癌は、本来なら制御されなくてはならない細胞分裂が暴走して止まらなく なってしまったものです。

本来、全ての細胞は分裂で数が増えていくのですが、その速さは必要に応 じて抑えられています。ですから他の細胞とのバランスがとれているのですが、ガン細胞は暴走状態ですから、体全体から栄養分を吸収して、全身 の衰弱を起こさせますし、神経を圧迫したり浸潤したりするため、激しい痛みを起こして鎮痛剤も効かないそうです。

 ガン細胞の分裂速度は非常に速いのですが、正常細胞でも癌ほどではないにしろかなり速い分裂をしている細胞があります。

骨髄の血液細胞の先祖にあたる幹細胞や腸の上皮細胞などですが、これと逆に脳細胞や心筋の細胞などは、分裂が終了している細胞なのでそれ以上は分裂しません。

で、この様に「もう分裂しない細胞」は癌になることは無いそうです。

だもんで、脳癌とか心臓癌というのが無いのだそうです(^^;

「ん?脳腫瘍というのがあるではないか」と思われると思いますが、あれは、脳の神経細胞以外の結合組織の細胞に出来る物で、ほとんどの場合が癌ではなく良性腫瘍なんだそうです。

ちなみに、抗ガン剤は、癌の様に盛んに分裂する細胞に特によく効く為、骨髄に対する副作用が非常に強く、放射線も抗ガン剤と同じように分裂の盛んな細胞を中心にその活動と分裂を抑えるそうです。

カルシウムと細胞分裂の関係はかなり古くから知られているそうです。

前の方で書きましたが、受精の時に精子が卵子に到達し、細胞分裂がスタートする信号となるのはカルシウムが細胞内に入り込むことです。

ですから、精子が無くても卵子にカルシウムを注射しますと細胞分裂が始まるそうです(^^;

この時には精子が持ち込むはずの染色体が卵子に入りませんので、染色体の数は通常の半分しかありませんが、ウニなんかの単純な生物ですと、それなりの個体が完成するそうです。これが処女生殖で、カルシウムを使うとこれが起こせるのだそうです。

今から30年位前は、核戦争の危険が深刻に感じられた時代で、核戦争になった場合に犠牲者を一人でも少なくしようと、放射線の副作用を和らげる薬の研究が進められたそうで、当時、ネズミにいろいろの薬を注射して強い放射線を照射していきました。後にチェルノブイリでの事故でこれと同じ様な事が人間に起こってしまいましたが、放射線障害は分裂の盛んな細胞ほど起こりやすいそうで、まず骨髄に現れて再生不良性貧血を引き起こし、腸管の上皮細胞に現れ激しい腸管出血を起こしました。毛が抜けるのも毛根の細胞がよく分裂するので放射線に対する感受性が強いからだそうです。

さて、急性放射線障害を何とか耐え抜いたネズミが生き残れるかどうかは、 骨髄や腸管上皮細胞等の一度損傷を受けた細胞が再び分裂を開始して立ち直れるかどうかにかかっています。

ということで、放射線障害から個体を守る薬は細胞分裂を促進する薬にな ります。

で、いろいろな薬が試されましたが、放射線障害から最も有効にネズミを守り生き延びさせたのは副甲状腺ホルモンだったそうです。

副甲状腺ホルモンは細胞中のカルシウムを増加させますが、これが細胞分裂と増殖を促進させたのだそうです。

しかし、これは両刃の剣です。

実際、副甲状腺ホルモンの分泌が多い人は癌になりやすいという統計結果もあるそうでして、これは、副甲状腺ホルモンが長年にわたって分泌され続けますと、体のどこかで細胞が増殖を始めて最後には癌になってしまう という事が起こっているらしいのです。

この場合の癌はどこに出来ると言うことはなく、いろいろな場所で発生し ているそうで、副甲状腺ホルモンが分泌され過ぎると癌になりやすくなると言うことは確かなようです。

同じ副甲状腺ホルモンが放射線障害から体を守る一方で、癌を起こしてし まうというのは不思議な感じもしますが、他の物質でも、短期間投与と長年にわたる分泌過剰では違った効果が出ることが多いそうで、これは、体 の反応が単純な物ではなく非常に複雑な仕掛けになっていることが原因だそうです。

このほかにも、高血圧の人に副甲状腺ホルモンを注射すると一時的に血圧が下がることがあるそうで、これも長期間副甲状腺ホルモンを注射し続けたり、カルシウム不足で副甲状腺ホルモンが出すぎていると間違いなく高血圧になるのとは、逆の反応です。

カルシウム欠乏が導き出す細胞のカルシウム過剰でいろいろな細胞の機能が低下しますが、免疫機能が低下すれば、癌の発生の危険性も上昇します。

カルシウムは食物中の脂肪類と結び付いて解毒するそうですが、カルシウムが足らないと、腸に大量の脂肪が流れ込み、それが腸を刺激して腸の癌が発生するとも言われているそうで、直腸癌は、ビタミンDが不足している人に多いそうで、カルシウム不足が直腸癌の発生を助けていることは10数年に渡る観察からも認められるそうです。

さて、「家庭の医学」いかがでしたでしょうか?ヾ(^^;ヲヒヲヒ 最後に上手な骨の食べ方です(笑)

人の体はいろいろな部屋に分けられています。その部屋にはすべての物資 が自由に出入り出来るわけではありません。

必要な物だけをその時に必要なだけ取り込む事を能動輸送というそうで、 人の体では、大切な物質はこの能動輸送で必要なだけ動かしてバランスが

崩れないようにしているそうです。 その一方でどこにあってもあんまり困らない物は受動輸送で適当に運ばれて自由にいろいりな部屋の間を動いているそうです。 カルシウムは非常に大切なもので、その分布がきちんと決まっていないと困る物ですので能動輸送で細かくその動きを調整しています。 カルシウムの腸からの吸収も大部分が能動輸送で、体の必要に応じて吸収量を変えているそうで、不足している時は腸からのカルシウムの能動輸送が能率的に行われるそうですが、充分にある場合は能動輸送が減少するそうです。カルシウムの吸収には受動輸送の部分もあるそうで必要最小限の 吸収は腸管全体で少しづつ行われているそうで、栄養状態や環境の変化に影響されていないそうです。

カルシウムが他の無機質であるナトリウムやカリウムと比べて簡単に腸から吸収されないのは、この様な吸収のメカニズムが働いているからだそうです。

カルシウムの吸収は十二指腸と小腸上部で主に行われているそうで、活性 型ビタミンDによって吸収が促進されます。

カルシウムの摂取量が不足しいると、血中濃度が下がりますので、副甲状腺ホルモンが分泌され、腎臓 で活性型ビタミンD合成が盛んになってこれが腸管に働いてカルシウムの吸収を促進します。 カルシウムの摂取量が多すぎる場合は、副甲状腺ホルモンが減少しますので活性型ビタミンDの合成も少なくなり、腸からの吸収も減少します。 この様な仕組みがあるため、カルシウムは取りすぎて困るという事があまりないのだそうです。 で、ほとんどの場合不足しているわけですが、カルシウムを上手に摂取するにはどうすればよいのでしょうか。 カルシウムを多く含む食品は大きく分けると5つに分けられるようです。

1.牛乳や乳製品

2.小魚(骨のカルシウム利用ですね)

3.海藻 4.大豆製品

5.野菜(小松菜、キャベツ)

食品からの腸におけるカルシウムの吸収についてはまだはっきりと判らないところも多いようですが、1は、カルシウム含有量も多い上に腸でのカルシウム吸収に優れているので一押しのようです(^^)

野菜の場合、ホウレンソウだけは一旦カルシウムと結合すると離れない蓚酸が多く含まれていて、これが腸でのカルシウムの吸収を妨げるのでカルシウムが沢山含まれているのに吸収率が悪いそうです、逆にケールキャベ ツ(ちぢみきゃべつ)は極めてカルシウムの吸収が良いそうです。

西欧ではカルシウム摂取の70%位を乳製品でまかなっているそうですが、日本人の場合は20%位だそうです。

日本人の場合、いろいろな食品からカルシウムをとるということでその吸収の程度が不明なのだそうですが、異なった仕組みで吸収されるので確実にある程度の量のカルシウムが確保されるという利点はあるそうです(^^;

カルシウムの利用率は、食物中に含まれている他の成分の影響も大きく影 響します。

リン酸は牛乳や骨に多く含まれていますが、カルシウムと結合しやすいのであまり多く取りますとカルシウムの吸収を邪魔します。

だもんで、牛乳や小魚の骨、骨粉等はやたらと沢山取ればよいとは限らないそうで、有効摂取量はおのずと限界があるそうです。

 普通は、カルシウムの2倍以上のリン酸をとることはあまり好ましくないとされているそうです。

ただ、リン酸を沢山とりますと、副甲状腺ホルモンの分泌が増加し、これが尿へ出るカルシウムの量を減らす為、カルシウムを体内に蓄える方向へ働くそうで、腸からの吸収の障害と打ち消しあってそれほど害が無いので はないかという意見もあるそうです(^^;

ナトリウムはカルシウムを尿へ出す作用があるので、カルシウムを沢山取 ってもナトリウムも多いと、体内に留まって利用されるカルシウムは少なくなってしまうそうです。

タンパク質は最も重要な栄養分であり、一定量を摂取することは健康に欠 かせません。特にお年寄りではタンパク質摂取量が不足している人が多いそうです。

ただし、あまり沢山のタンパク質を摂取しますとナトリウムと同じ事が起こるそうです。

で、砂糖や甘い物を沢山食べると骨が溶けると思っている人がいるらしいのですが(^^;、糖分は腸からのカルシウムの吸収を助けるそうです。ただし、タンパク質と同じであまり沢山摂取しますとカルシウムを尿へ出してしまうので、その分余分にカルシウムをとる必要が出てくるそうです。 ということで、じゃぁどぉすりゃいいのさたこのふんどしですが(^^;;;;

リン酸やナトリウム、タンパク質をとりすぎない様に注意し、いろいろな 食物から少しづつ総合的にカルシウムを得るようにすること、一つの食物だけに頼らないことが大切だそうです。 カルシウム剤を使うのも一つの手段だそうで、乳酸カルシウムやグルコン酸カルシウム、アスパラギン酸カルシウムなどの有機酸カルシウム塩は飲 みやすいと言う利点はあるものの、カルシウム原子一個にくっつく有機物が大きいので分子量の割にカルシウムが少なく、1グラムのカルシウムを とるために7グラムのカルシウム塩をとらなければならないそうです(^^;

まぁ、クエン酸カルシウムやクエン酸リンゴ酸カルシウムの吸収効率はかなり良いそうですが・・・

現在一番利用されているのが、炭酸カルシウムだそうで、これは約2グラ ムで1グラムのカルシウムを含んでいます。

炭酸カルシウムの塊のようなカキ殻を加熱して、真空下で900度位に加 熱した海藻の成分を加えたAAAカルシウム(活性吸収型海藻カルシウム)は、炭酸カルシウムよりもよく吸収され、骨量の増加作用も確認されたそうです。

実際には、乳製品等を基礎にして、小魚や大豆製品、海藻をバランスよく食べて、適当にカルシウム剤で補ってやって1日1000mg以上を確保し、ナトリウムやタンパク質を多く含む食品を控える事。そして、日光によくあたって、適当に運動をして腸の働きを活発にするという、ごくごく普通に昔から言われている健康法を心がけることが最も良いようです(^^;

栄養学的にも免疫学的にも現在は非常に恵まれた状況にあると思われがちなのですが、実際は寿命が延びた事によるカルシウム不足は相当に深刻な状況のようです。

忘れた頃に健康的な食事をするのではなく、普段から偏らない食事をするように心がけましょう(^^)/

では最後に、各食品の代表に一体どれくらいカルシウムが含まれているか 一覧を食べられる部分100gに含まれているカルシウム量(mg)です。

乳製品・卵の部

牛乳          100

ヨーグルト       110 アイスクリーム     140 チェダーチーズ     740

コテッジチーズ      55

ブルーチーズ      590

アメリカンチーズ    697 卵            44 魚介類の部

イワシ(缶詰)     400

ウナギ(生)       95 小エビ(生)      120 鮎           270

カキ(生)        55

ハマグリ(生)     140 サバ(缶詰)      190 海藻の部

ワカメ(乾燥)     960

ヒジキ(乾燥)    1400 コンブ(乾燥)     710 焼きのり        410

大豆製品の部

豆乳           31 豆腐          120 納豆           90

種の部 胡麻         1200 野菜の部

ブロッコリ(生)     49

ホウレンソウ(生)    55 からしな(生)     110 きゃべつ         43

その他

アーモンド       230 バレンシアオレンジ    20 97/04/17 (Thu)

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