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201310/21

大腸と粘液

粘液のお時間です(^^;
粘液というのは、「動物の体内で合成される粘り気のある物質」だそうです。
身近なところですと、魚の表面のヌメヌメや鼻水がこれだそうで、あとは・・・・・・・まぁいいでしょう(^^;コレダケデ

 

で、大腸には、非常に沢山の粘液製造をする細胞がありまして、気管と並んで、人体最大の粘液製造工場なのだそうです。
ただ、大腸で作られる粘液は、普通は腸内の細菌に食べられたり、大腸が強引に水分吸収を行いますのでカサが減ってしまうためほとんど目立たないそうですが、浣腸なんかしますと、大量の粘液が出てくるそうです(^^;

粘液の主成分は、水で、粘液物質が数%入っているそうで、これが粘り気の元だそうです。
大腸の粘液物質は、何種類もの化学構造の異なる物質が混合した物だそうで、共通している構造としては、タンパク質を芯にして、そこからマンノースやガラクトース、フコースと言われる糖や糖が変化した誘導体が鎖の様に繋がった(糖鎖)ものが枝のように出ているという物だそうです。
粘液物質の組合せや割合は、いつも変化しており、粘液の性質は同じ臓器でも刻々と変化していて、糖鎖を作っている糖の種類や結合の仕方が粘液の性質を決めているようです。
この糖鎖の末端には、シアル酸とか硫酸なんかがくっついている事が多いんだそうで、粘液全体としてはマイナスの電気を帯びているそうです。

 

この粘液というのが、研究者にとっては悩みの種なんだそうでして(^^;個々の粘液の性質を調べるには、粘液だけを取って、それから粘液物質に分ける必要があるのですが、根本的問題として、大腸から粘液だけをとるのがまず非常に難しいのだそうです。
国際的な学会でも研究者の人がみんな触れないようにしている話題というのが、「大腸粘液の試料を取る方法」なんだそうで(^^;;;;なんでそんなに難しいのかと言うと、中身に入っている食べ物の残骸に、粘液そっくりの成分があること。小腸や胃から流れてくる粘液も混じっているので、大腸の粘液だけを分けるのが難しいこと。この辺は、気管や子宮だと全く問題にならない大腸特有の問題点です(^^;
大腸の組織を取り出して、そっと粘液を取るという方法もあるようですが、まず大腸の組織を取り出す段階で、その刺激で粘膜が粘液を分泌してしまうんだそうで、そういった刺激を受けたときに出てくる粘液は、いつも粘膜の表面にあるものとは違う成分で、色や粘性も違うんだそうです。

 

盲腸や近位結腸の粘液の中には細菌がぎっしり詰まっているので、粘液と細菌を分けるのが簡単ではなく、細菌によっては、粘液食べちゃいますし(^^;、
粘液に似た物質を作るのもいるそうです(^^;;;
その上(^^;マダアルノ?
「大腸の粘液」と一言に言いましても、大腸の同じ場所でも、粘液を作る個々の細胞毎に作っている粘液が違うそうでして(^^;だもんで、粘液の化学分析の分析自体は信用できることが多いらしいのですが、どういう状態の試料なのかを注意しないと、研究者同士でもまったく話が噛み合わなくなってしまうのだそうです(^^;

 

で、これだけで話を終わってしまうと、粘液が何やっているのか不明ですので、粘液のお仕事については、紙面の都合上次回に(^^;

粘液によって何がなされているのかですが、一番ピンッと来るのは、「滑らす」じゃないでしょうか。確かに、ウナギなんかは掴むのが大変です。
どれどれってことで、動物を解剖してみて、大腸の最後の方でしっかりと粘液に包まれたうんちをしごいてみますと・・・・・う、うごかん(^^;
これでは、うんちが出ないぞぉ~(^^;
おかしい・・・・
で、注射器で、水を少しだけうんちと腸壁の間に入れてやると・・・・・
・・ぬるんっ(^^;;;
そうです。粘液は確かに潤滑作用があるのですが、粘液だけでは滑らないのです。水が必要なのでした。
確かに、ひからびたウナギは滑りません(^^;;;;

 

ラットの場合のうんちの水分は60%位ありますが、全部結合水ですので、潤滑用には効きません。うんち表面の粘液がどれくらいの水を含むことが出来るのかは判っていないようですが、保水力の半分程度しか水が無いことは確かで、粘液と言ってもカラカラ状態ですから滑らないのだそうです。

粘液が水分が無いと滑らないというのは、判りましたが、世の中糞詰まりでバタバタ倒れている生き物だらけではありませんので、どこかから水が供給されているはずです(^^;
大腸の役割に水分の吸収というのがありますが、大腸は水分を出すことも出来るのだそうでして、自律神経のお仲間であります、副交感神経を刺激しますと、大腸の内側を覆っている上皮細胞から塩素イオンが大腸の中に出て行くそうです。この塩素イオンにつられて水も出ていくことが判っているそうです。

 

で、大腸の粘膜は、うんちの中にあるプロピオン酸や酪酸等の単鎖脂肪酸を感じて、塩素イオンを大腸の中に出すんだそうでして、大腸壁は、うんちが来たことを感じとって、うんちがある時だけ、水を分泌しているらしいとのこと。

この粘液層自体にも層状の構造があるようでして、粘液層の真ん中あたりに水が入って、そこが滑っているようらしいです。
実際、遠位結腸で、オナラだけの部分とうんちが入っている部分の粘液の厚さは大体1:2になっているそうで、うんちが粘液層の半分を持ち去ったという事のようです。
と、この様な潤滑作用を粘液が行っているのは、遠位結腸での話でして、盲腸や近位結腸の粘液層は必ずしも連続しているわけではないそうで、中身が直接大腸壁に触れている部分も多いのだそうです。
このあたりの粘液に潤滑作用はあまりないようで、解剖して中身を取り出そうとすると、こびりついていて簡単にはとれないそうです(^^;

粘液は粘度のあるものですので、大腸粘膜を守るという作用もある・・・
・らしいです(^^;
大腸の粘膜は、口や食道等の粘膜と違って、指でちょっとこすっただけでも傷だらけになるそうですが、ゴボウやパイナップルなどを食べて、大腸が出血するということはありません(^^;
ウシなんかは稲藁食べても大丈夫です。確かにウシの胃粘膜は丈夫らしいのですが、大腸粘膜は人と似たような物らしいですし、稲藁で大腸粘膜をこすると傷がつくそうです。
遠位結腸でも野菜の茎や葉っぱの軸なんかがうんちから飛び出ている時があるそうですが、そんなところでも、ちゃんと粘液が切れ目無く覆っているそうでして、粘液はその程度の物体には耐えられるようで、粘液層が大腸壁を守っているらしいとのことです。
ところが、先にも書きましたように、盲腸とか近位結腸では、粘液が切れ切れで、結構固い物も中身に含まれています。このことは小腸でも同じなのですが、こういう部分の粘膜がなんで傷つかないのかは、謎だそうです(^^;
ただ、腸の動きが穏やかで、中身を団子を丸めるように動かして固い物を中身の中心へ丸め込んでいるのかもしれないということです。丸めるためにはある程度粘り気が必要ですので、近位結腸等の粘液は「つなぎ」の役割をしているのかも知れないそうです(^^;

物理的衝撃から粘膜を守っているらしい粘液ですが、守ると言いますともう一つあります。
化学的な保護なんですが、一番わかりやすいのは胃の粘液でしょうね。
粘液は、一般のタンパク質より少々大きめの分子がスクラムを組んでいるような構造をしている為に、物質にとっては通りにくい構造になっています。
胃壁からは、塩酸が出てきますが、胃の粘膜は、塩酸に耐えられるほど強力ではありません。胃の粘膜表面にあるしっかりした粘液層が、塩酸の水素イオンを通りにくくしているのだそうです。
胃粘膜は重炭酸イオンを出していますが、焼け石に水状態でして(^^;、粘液の分泌が止まってしまうと、胃の粘液は塩酸に侵されて穴が開いてしまいます。

 

んでもって、大腸の粘液の方ですが、粘液を分解する酵素を大腸の中に入れてみますと、水やナトリウムイオン、酢酸等の吸収量が通常の倍位になるんだそうですが、事は単純ではないようで(^^;、酵素が大腸の粘膜を傷つけなかったか、という事が判らないのだそうでして、この様な実験の場合、遠位結腸は異常に粘液を放出することが判っているそうです(^^;

大腸の粘液には、私達が通常イメージする様な粘液の役割とはぜんぜん違った大きな役割があります。
「お菓子のお城」としての粘液です(^^;

盲腸や近位結腸の粘液層には細菌がぎっちりと詰まっているそうで、粘液層がこれらの菌にとって非常に快適な環境であるようです。

粘液層には、物を通しにくいという特徴がありますので、粘液層の中では、そこ独自の環境を作り出すことが可能なんだそうで、盲腸や近位結腸の中では、細菌が単鎖脂肪酸をガンガン作っていますから、酸性になりがちなのですが、胃の粘液同様に水素イオンをブロックする作用をここの粘液が持っていれば、粘液層の中は酸性になりません。
実験によると、腸の中身のPHを5から9まで変化させても、粘液層のPHは近位結腸で6.9、遠位結腸で7.0と中性で極めて安定した環境であったそうです。
ですから、粘液層の中は、環境変化に弱い中性の環境を好む菌にとっては、最適な住環境になっているのだそうです。

 

通常、小腸で消化されなかった食物繊維等が大腸に入ってきまして、それが細菌達のお食事になるのですが、例えば、ライオンの様に、チャキッチャキの肉食動物(^^;の場合、ほとんどが小腸の中で消化されてしまうんだそうで、そうなりますと大腸の細菌にとっては、おまんまの食い上げ状態です(^^;
しかし、ライオンの大腸にもちゃんと細菌は住んでます。
これらの細菌のエネルギー源は粘液らしいです。
ところが、粘液ってのは、消化しやすい物では無いそうでして、人の膵臓や腸が分泌する消化液ぐらいでは消化できないそうで、粘液層に住んでいる細菌達は、同じ腸内細菌でも、真ん中の方に住んでいる細菌と比べると、粘液を分解する酵素を100倍以上も持っているのだそうです。
んで、これらの腸内細菌にとって粘液は単なるエネルギー源としてだけではなく、もっと重要な位置を占めているらしく、大腸の細菌の必要とする栄養素は詳しくは判っていないそうですが、似たような生態系を持っている、ウシの反芻胃の細菌の研究では、タンパク質や核酸の原料となる、窒素・イオウ等の他にも、カルシウムやマグネシウム、リン等を粘液から供給されているらしいことが判っているそうです。
小腸の消化吸収能力というのは、凄いものらしく、これらの成分は小腸でほとんど吸収されてしまい、大腸には入ってこないのだそうです。

 

試験管で腸内細菌を培養して、そこに粘液を加えると、細菌の働きが正常な大腸の中での働きに似てきて、活発になることが判っているそうでして、人のうんちを111日にわたって培養した実験で(^^;、粘液を入れると、イオウ還元細菌の数が増えて亜硫酸の発生が増え、メタンの発生が少なくなったそうです。
臨床の方から、結腸癌や潰瘍性大腸炎の患者の場合、大腸内でメタンがたくさん出来ることが判っているそうで、粘液分泌が少なくなっている可能性が高いと見られており、実際に潰瘍性大腸炎の患者の大腸では粘液があまり出来ていないという報告もあるそうです。

 

潰瘍性大腸炎は、難病に指定されていて、ヨーロッパや北米では、珍しい病気ではないそうで、最近は日本でも増えてきているそうです。
しつこい下痢と大腸からの出血が主な症状らしく、一度かかると8割以上が再発を繰り返すそうです。
1950年代頃までは、患者の20%程が10年以内に死亡する恐い病気だったそうですが、現在では、サルファ剤や副腎皮質ホルモン等の組合せで症状を抑えることが出来るようになっているので命に関わるようなことは少なくなったそうですが、やっかいな病気であることには変わりないようです。

 

潰瘍性大腸炎の人の大腸へファイバースコープを入れて調べてみると、大腸粘膜の細胞が無くなって、大腸の地肌(^^;がむき出しになっていて、5ミリ以下の小さな潰瘍がたくさん出来ているのが見られるそうです。
この潰瘍性大腸炎の下痢ですが、大腸が中身をどんどん肛門に向かって押し出しているのかと言うと、実際は逆なんだそうでして、近位結腸では、腸の筋肉がゆるんでしまっていて、中身をしこたまため込んでしまっているそうで、筋肉がゆるんでしまっているので、中身を上手にかき回すことも出来ず、粘液も出てこないため、このあたりの細菌の働きがおかしくなってしまっており、乳酸やメタンが異常発生しているそうです。
乳酸が増えることによって、大腸内は酸性度が上がって、これによって大腸が動かなくなってしまって、ますます中身をため込んでしまう事になっているそうです。
こんな事が起こっているのに、なんで便秘じゃなくて下痢になってしまうのかというと、大腸の後半で、水の吸収がうまく出来なくなってしまっているからなんだそうでして、前半で便秘状態、後半が下痢状態なんだそうです(^^;

 

潰瘍性大腸炎の発生を統計的に見てみると、タバコとの関係があるらしいことが判るそうでして、タバコといいますと、吸うとなりやすいのか!と思うかも知れませんが、逆でして(^^;、吸わない人ややめた人よりも吸っている人の方がなりにくいらしいです(^^;
それも、長期間喫煙をしていた人が禁煙した場合に、一番なりやすいという事のようです。
まぁ、他への影響を考えると、吸うのが良いとは決して言えないそうですが(^^;
ただ実際タバコをやめますと、結腸の粘液生産量が落ちることは判っているそうです。
世の中大地主さんってのは居るもんでして、店子が何百人とか言う人も居るとは思いますが、うらやんではいけません。
私達はおなかの中に、沢山住まわしているのですから(笑)
成人の大腸の中身1グラム中には、いろいろな細菌が大体数千億個居るそうです(^^;
1センチ角の立方体の中に、全人類の100倍以上の店子を住まわせているわけです(^^;;;;;

 

大腸の大切な機能に、うんちを作るというのがあるわけですが、この作業は大腸という器官だけでは出来ません。
そこに住む、細菌達がこの作業を支えています。
人工的に無菌動物を作ると、そういった動物のうんちは水っぽくてぐちゃぐちゃ、最適な弱酸性ではなくアルカリ性のうんちが出来上がり、うんち独特のあのにほいもしないそうです(^^;
一方、大腸の方は、適度なPHの維持と粘液として食料の供給等を行っており、大腸と腸内細菌が相互に依存して機能を果たしています。だもんで、どちらかが調子悪くなると共倒れになってしまいます(^^;

ということで、大腸の事を考える場合は、この細菌達の事も考えなくてはいけません。逆に、細菌の事を考える場合は、大腸の事を考えなくてはいけません(~~;タイヘンジャ

人の大腸に居る細菌の主だったところは、バクテロイデス・ユウバクテリウム・嫌気性連鎖球菌・ビフィズス菌・連鎖球菌・大腸菌・乳酸桿菌と言ったところだそうです。
で、ビフィズス菌なんかは結構有名ですが、大腸の中に生活している菌の詳細に関しては、研究が意外と進んでいないのが実態だそうでして、腸内で何時間毎に分裂するのかとか、細菌同士の食物連鎖がどうなっているのか等の基本的な事もあまり判っていないそうでして(^^;
ちょぉ~有名な大腸菌ですが、これも培養の条件が変わると分裂速度が変わります。大腸菌を試験管の中で培養しますと20~30分に1回分裂するそうですが、大腸菌を無菌マウスの消化管に入れて、他の菌に邪魔されないようにして、分裂速度を調べたところ、20時間に1回の分裂だったそうです(^^;

また、ビフィズス菌等は、生活環境が変わると、似ても似つかない形になってしまいます(^^;
ビフィズス菌の写真とかで良く出てくるのは、テトラポッドの様な形をした物だったりしますが、腸内にいる時は太めの棒状です。
栄養分の少ない貧祖な環境にほっぽらかしていじめると、ビフィズス菌は、テトラポッド型になるそうです(^^;

 

こういった事情があるため、大腸内で細菌が活躍している時の姿を調べるというのは結構難しい事なんだそうでして、うんちとして出てきたのを分析すりゃ良いだろうと思っても、細菌の中には、なかなか外に出てこないのも居るそうですし、便秘気味の人の場合、うんちが出来上がってから出てくるまでに時間がかかりますので、その間に死んでしまうのも沢山います。

個々の細菌の暮らしについて判っている事は少ないようなのですが、腸内細菌全体として、どのような働きをしているのかということは、だんだん判ってきているそうでして、一番わかりやすいのが、細菌が作り出す物質が私達の身体に与える影響を調べることだそうです。
これらの物質の大御所は、酢酸や酪酸等の単鎖脂肪酸、二酸化炭素やメタン・水素等のガスだそうでして、普通の人にとってイメージが湧きやすい酢酸をちょっと例にしてみませう。

酢酸と言いえば身近な商品としては、「お酢」でやんす(^^;良く知らないのですが、「お酢ダイエット」ってあるんですか?
お酢を飲むと痩せるとか何とか(^^;;;

えげれすのローエット研究所という所にボブ・オルスコフさんという有名な家畜栄養学者さんがいらっしゃるそうで、このかたは、酢酸を主とする単鎖脂肪酸のカクテルとタンパク質源としてのカゼインというのだけで、何年もウシを飼ってらっしゃるそうです。
ちゃんと成長しまして、700キロもある立派なウシになりまして、子ウシを産んでミルクも出しているそうです。
ということで、ウシはお酢で太るのです(^^;

 

さて、人の場合ですが、大腸で作られた単鎖脂肪酸の80%以上は吸収されるそうでして、吸収されますと単鎖脂肪酸1グラムあたり3.5キロカロリーという極めて優秀なエネルギー源になるんだそうです。(ちなみに、澱粉が1グラムあたり4キロカロリーだそうな)
さて、この単鎖脂肪酸のエネルギーが人にとって総エネルギーのどの程度を占めているかと言うことですが、食物繊維を食べた時を考えますと、これらの繊維の中には、ペクチンやガム類の様に、微生物に分解されやすいものも多いそうでして、こういった食物繊維の場合、ほとんどがエネルギーとして吸収されるそうです。
大腸に入った中身は、大体10時間位で出て行くそうで、この間に分解されてしまうような食物繊維の場合ですと、食物繊維100グラムあたりで47グラムの単鎖脂肪酸が出来るそうで、吸収効率を8割としますと・・
・計算して下さい(^^;
大体38グラムになります。で、単鎖脂肪酸の熱量が1グラムあたり3.5キロカロリーってことですから・・・・38グラムで・・・・133キロカロリー。てぇことで、食物繊維100グラムで133キロカロリーですから、1グラムあたり1.3キロカロリー。
単鎖脂肪酸の吸収効率は9割と言っている研究者の人も居るそうでして、そうなりますと、食物繊維1グラムあたり1.5キロカロリーとなります。
てぇことで、この様な食物繊維を1日に100グラムも食べますと、安静時に必要なエネルギーくらいはまかなえてしまうんだそうで(^^;

 

と、単純計算ではこうなるわけですが、身体に入ったエネルギーってのは、脂肪として蓄積されるのか、熱として放出されるのかでまったく話が違ってしまいます。
この調節をしているのが、インシュリンやグルカゴンという膵臓で出来るホルモンや副腎で出来るアドレナリンというホルモンだそうです。
最近、単鎖脂肪酸の一つである酢酸がインシュリンの作用を強めることが判ってきたそうです。
動物実験で、腸から肝臓へ行く血管の中に、酢酸をゆっくりと注入してみたんだそうでして、これは、大腸で作られた単鎖脂肪酸が吸収されていくのを真似した実験で、酢酸を注入した動物の場合、ブドウ糖を注射した後でも、血液中のブドウ糖濃度(血糖値ってやつですね)が、それほど上がらなかったそうですし、インシュリンの出具合(?(^^;)も良かったそうで、その働きもあって細胞がブドウ糖をぱっぱと処理してしまったのだそうです。
処理された糖の行き場所ですが、肝臓や筋肉でグリコーゲンに合成される分もあるようですが、限度がありますので、後は脂肪として蓄積されるそうでして、酢酸には身体に入ってきたエネルギーを脂肪として蓄積する方向に向かわせる作用がありそうだという事です。

大腸に影響を与えているのは、細菌が作り出す物質だけではなく、細菌自体も大腸の機能に大きく影響を与えているのだそうです。
というのも、オーストラリアのデイビット・トッピング氏の研究ですと、うんちの固形分の半分は細菌の体だ!とのことらしいのです(^^;;;;;
細菌のカサが増えますと、中身の他の物質の濃度が落ちて、中身の量も増えることになりますので、伸ばされた大腸の壁は中身が増えたことを圧力として感知して、大腸の筋肉が中身を送り出す様な動きをしてうんちが早く出ていくことになります。
ただ、実際にどの程度の細菌が結腸の中に居るのかははっきりとしたところは判らないようですが(^^;

で、細菌の住処としての大腸ですが、単純にいいますと、連続培養装置みたいな感じのようです。ただ、その動きが良く判らない謎の装置ではあるようです(^^;
大腸の中に住んでいる1個の細菌が2個に増える速度には、上限がありますので、中身の流れていく速度を遅くするような仕組みが無いと、細菌は増殖する前に流されていってしまいます。
細菌が流されずに安定して存在するためには、1個の細菌が2個に増えるのに必要な時間の1.4倍の間は大腸に居ないとだめなんだそうです。
で、大腸は、盲腸と近位結腸の間で、中身を行ったり来たりさせて時間を稼いでいまして、人の場合で平均的に10時間位は大腸の中に中身が居るわけですが、これでもはっきりいって不十分でして、大腸菌の大腸内での増殖速度は20時間に1回程度ですので、10時間の滞在では、分裂する前に流れていってしまい、最低でも30時間は居続ける必要があります。
ところが、大腸菌は安定して大腸の中に生息しています。
これは、細菌のように細かな粒は、簡単に流れないような仕組みがあるに違いないらしいのですが、その仕組みははっきりと判っていないのだそうです。

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