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201310/15

免疫とは?

免疫とは?


我考える故に我有り

でしたっけ?(^^;;;; さて、「判っていない奴が判った様な顔をして科学する」シリーズヾ(^^;
今回は哲学・・・・じゃありません(^^; 昔から、「我」すなわち「自己」とは何か。というのは、結構いろいろな形で語られているようですが、その場合の「自己」は、主に精神活動の面から語られることが多いと思います。
「心理学」も、外環境からのストレス(広い意味での) による、自己の反応を統計だてて考えるもんなのかな?とか思っていますが、この場合の自己も精神活動的な見地からの自己であるわけです。 この場合の自己は、精神活動としての自己ですので、突き詰めれば、自己=脳という、イメージで捉えて良いと思います。
私達は、自己を考える場合、脳を軸に考えがちですが(考えるって事自体が脳のお仕事だわな(^^;)、生物学的(?)に見た場合の、「自己」とは一体何なんでしょうか?「物としての自己」とでも言うんでしょうか。

 

この場合は、「個体」が「自己」と捉えられると思うのですが、さて、この自己は他の物、即ち「非自己」とどのように区別をつけられるのでしょう?
普通は、目・耳・鼻・皮膚などからの情報、即ち視覚・聴覚・臭覚・皮膚感覚が、神経系によって脳に伝えられ、自分自身とは別の物として理解されます。
これですと、やはり「脳」によって「自己」「非自己」を見分けているわ けですが、実はこれとは全く違った、自己・非自己の識別を私達は普段行っているのです。

例えば、Aさんの脳味噌をBさんの体に移植したとします。
さてこの場合、自己とはどうなるのでしょうか?
Aさんなのか、Bさんなのか????
精神活動的見地から見ますと、この場合に存在するのは、Aさんという 「自己」だけになるはずです。
しかし、生物としての人間の体は、これを否定します。 もし、この様な移植を行うと、主役になるのは、Bさんの体の方です。
Bさんの体は、Aさんの脳を非自己として、排除します。 で、死んでしまいます(^^;

 

この様に、なんだかんだ言っても、物体としての自己・非自己を決定するのは、脳ではなく体が持っている機能の方なんです。
この様な機能を一般に「免疫」と言います。免疫は、自己から非自己を排除する機能です。
というと、非常に簡単に説明できそうですが、その実態は、今現在完全には解明されていないそうです。
ちょっと考えてみましょう。 私達は、物を食べます。
消化器官で消化して、栄養として体内に取り込むわけですが、この食べ物ってのは、早い話がタンパク質や脂質や糖類が中心です。人間の体もこれ で出来ています。

非自己を取り込んでいるわけですが、免疫系はこれらを排除しません。 排除されたら栄養失調で死んでしまいます(^^;
カビの時に書きましたが、一呼吸で数百とか、一食で数千とかの菌やウィルスなどが体内に入ってきます。
これらの微生物などは、タンパク質や脂質や糖類で構成されています。
これらを排除しなかったら大変です(^^; 同じ免疫系が引き起こすので、身近なのは、アレルギーでしょう。

そもそも、外部からやってきたタンパク質と自分自身のタンパク質をどうやって見分けているのでしょう?

 

今を去ること数十億年前、海の中で細胞と言われるものが出来上がります。
この時、細胞の中には、外界である海が取り込まれました。 その後、生物はいろいろと分化し、ある物は海にとどまり、ある物は
陸へその生活圏を広げていきました。
陸へ上がった生き物は、海を捨てたのでしょうか? いへいへ。生物は、自分の細胞の中に、母なる海を今でも持ち続けているのです。そして現在、正式名称「動物界脊索動物門脊椎動物亜門哺乳動物綱霊長類目ヒト科ホモ属サピエンス種」という「人間」がいるわけです(^^;
体の中に海をもっている人の体温はおよそ36度前後、水っけが70%。

この暖かで湿潤な環境は、人が生きていく為に重要な環境であると同時に、 細菌やウィルスにとっても最適な環境でもあるわけです。
「楽園」と言われる場所は、外部からつけ狙われるのが世の常でして(^^;、
生命を保ち、子孫を残していくことがコード化された遺伝子をもっている生物にとって、人の生体はまっこと条件にかなった良い場所なわけです。
こうして、人の体は、常に細菌や異物の侵入にさらされており、呼吸する 度、物を食べる度に入ってくる数万種のカビや細菌、ウィルスがいるわけです。
しかし、人の体は、これらに乗っ取られることなく健康を維持しています。

 

外部からの侵入も問題ですが、内部の問題も抱えています。
人の体は、細胞で構成されていますが、この細胞達は、絶え間なく作り出され、役割を終えた物は老廃物となります。
人はおおよそ60兆個くらいの細胞から成り立っているそうですが、1日でその内の1/200位が入れ替わるそうです。
重さで言いますと500 g位。
こうして、絶え間なく繰り返される分裂の中にはガン細胞の様なエラー細胞も出来上がってしまいます。

この様に、外来・内因の異物成分を体は適切に処理し続け、健康を維持しているのです。体の中では、絶え間なくこれらの処理、即ち異物との闘いが繰り返されており、何かの原因でこの闘いに敗れた結果が、病気として表に出てくるのだそうです。

 

人(と言うよりも生物かな)は、自分の生命の維持と子孫を残すということが、コードとして組み込まれています。ですから、本来あるべきでない異常な状態になりますと、早急に原状に回復させるシステムを備えています。
この復元力は「恒常性」(homeostasis:ホメオスターシス)と呼ばれ、これによって人の体は、一定の状態を保ち、「同じ自己」が維持されているわけです。

 

恒常性がなければ生きてはいけません。これの身近な例としては、体温の調整がありますね。
寒い空気にさらされますと、体温も当然下がってしまいますが、そのまま にしておいたら死んでしまいます。(北海道では雪解けの季節になると、道の脇の雪山から死体が出てくるってのはほんとかいな?(^^;)
そこで、皮膚から脳の視床下部に信号が送られ、この信号を受け取った視床下部が副腎皮質にアドレナリンを分泌するよう指示を出します。 このアドレナリンが末梢の血管に作用して血流を抑え、体表からの熱の放散を防ぎます。 これに加えて、アドレナリンは、肝臓などにも作用して、蓄えられているグリコーゲンをブドウ糖に変えて血液中に放出させます。このブドウ糖が各器官に運ばれて、熱を作り出します。
逆に暑かった場合は、視床下部の温度受容細胞が体温の上昇を感知し、汗 腺に汗を作らせて、体表から蒸発させます。
汗1リットルで580キロカロリーの熱を放散させられるそうで、これのおかげで体温が下がっていきます。
この様な自律的なシステムによって、同じ自己は維持されています。 ホメオスターシスには、「神経系」「ホルモン系」「代謝系」等のシステムが関わっていますが、「生体防御系」も重要な役割を果たしています。

細菌などの侵入をほったらかしにしておいたら、病気になってしまい、同じ自己を維持できません。
生体防御系は、生体にとって有害な物・無用な物処理することによって、恒常性維持の一翼を担っていると言えるそうです。 「神経系」「ホルモン系」「代謝系」「生体防御系」等の各システムによって人の恒常性は保たれており、具体的な情報伝達システムは解明されていないようですが、かなり緊密なネットワークによって働いていることが明らかにされつつあるようです。
ただ、これらの「系統」はそれぞれが独立の進化を遂げ、その進化の過程で、必要な物がネットワークを組み、必要のない物はネットワークを組まなかったと考えるのが正しいそうで、ネットワークが土台にあったわけではないそうです。 その証拠としては、神経系が支障をきたしても、免疫系はちゃんと働きますし、免疫系が支障をきたしても、神経系は正常に機能します。
他の系でもこれは同じです。
独立して発達してきた各システムが、恒常性という生命そのものに関わる 部分で、総合的に手を組み、その微妙なバランスの上に人は同じ自己を維持し、生命活動を行っていると言えるそうです。

人の生活は、呼吸して、外界に触れ、他人と接触して成り立っています。 あらゆる場面で侵入を謀ってくる異物がいる以上、異物から同じ自己を守り、病気にかからない様維持するために生体防御システムが働くわけで、病気になりたくなければ、常にこの防御システムがフル稼働できる状態を保つことが大切になります。

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